Keishi Tanaka

2020年4月15日という日 -

 2020年の4月15日は、忘れられない1日になりました。ラジオの生放送で久々にライブをして(といってももちろん無観客ですが)、夕方に家でビールを一口の飲んで、この文章を書き始めたところです。不思議な話だけど、例えばツアーとレコーディングが重なって忙しい時期に、キャンプに出かけたときのような息抜き感。それを生業であるライブで感じるなんて。今の毎日がいかに異常な事態であるかを再確認しました。

 最初に、毎日ギリギリの状況で働いているであろう医療従事者、休むことができない介護従事者、物流関係者、スーパーやコンビニなどで働く方、ほかにも僕らのために今も働いている皆さんに、この場を使って感謝を伝えたいです。本当にありがとうございます。彼ら、彼女らの体と心がこれ以上傷つきませんように。これは共通の願いだと信じたい。

 一方、僕の仕事は音楽を鳴らすこと。金を稼ぐという意味での仕事は、この1ヶ月ほぼやっていません。ライブは告知前のものも含めて10本ほどなくなりました。これからのも入れるとすでに20本近いです。もっと増えるでしょう。人前でライブをすることに関しては、もう気合いでどうにかなる問題でもないし、ある程度の覚悟みたいなものもできています。
 もうひとつは制作活動。年明けから準備をして、3月にレコーディングを終えた新曲も、プロモーションもままならない状況で、4月15日という発売日を迎えました。今月末に予定していたリリースパーティー東京編も中止。実は同日にミュージックビデオの撮影も予定していましたが、それも白紙に戻しました。ここだけの話、Kan Sanoくんのスケジュールも抑えていたんです。無念。

 ただ、不思議なもので、心は折れるどころか強くなってると感じます。世の中に無念が溢れれば溢れるほど、今この時期に新曲をリリースできて良かったと思うほどです。それはSNSに届く新曲の感想を見てもそうだし、今日のラジオ生放送をやってみても感じることです。「制作中は自分のため、発売日以降は誰かのための音楽」といつかのインタビューで言った記憶があるけど、今まさにそう思っています。今こそ音楽。全ての芸術。命は救えなくても、生きていくには必要なもの。音楽や絵や本や演劇やお笑いが部屋になく、テレビやパソコンの中にもない世界では、今の自粛生活も成り立たないでしょう。全てが終息したあとに、色んな場所がなくなっていることを想像したら、気力もなくなるでしょう。希望を絶やさないために、できることをやっていこうと思います。

 まだ1ミリも諦めてないってことを、「The Smoke Is You」を使って叫んでいこうと思ってます。今日はとにかくその意思表明をしたかったんです。作品に関して語るのは、また別の場所で。手紙の形をしたグッズ「A SONG FOR YOU」の新作、ZOOMを使った取材なども進行中。お楽しみに。

 いつもとは違う新曲のリリース日。忘れられない1日。

The Smoke Is You
2020.4.15 out
Produced by Kan Sano